「マリー・アントワネット」「聖女エリザベート」サブリナ・ヴェッカリンさん
2010年「M.クンツェとS.リーヴァイの世界」にパトリックさんと一緒に来日したサブリナさん。「マリー・アントワネット」でマルグリットの歌を歌います。
マルグリットを演じている映像を見たことがないので、この絵は想像で描きましたが、来日コンサートで見たら髪の毛のボリュームがすごかったですね。
これは、教会で神様なんているのかよ、と不貞腐れているところです。
タイトルで「聖女エリザベート」と書きましたが、「エリザベートーレジェンド・オブ・ア・セイント」=「エリザベートーある聖者の伝説」で主役のエリザベートを演じています。「クンツェ&リーヴァイ」の19世紀のエリザベートと紛らわしいので、エルジェーベトと書きますね。
13世紀に実在した人で、エルジェーベト・フォン・チューリンゲン(エルジェーベト・フォン・ハンガリーと呼ばれることも)。ハンガリーからチューリンゲン方伯にお輿入れしたお姫様です。社会福祉に貢献するのはノブレス・オブリージュとして当然のことですが、やりすぎて怒られたという。それでも諦めず、籠にパンを隠して街に行こうとしたところ、義父か夫か義理の弟か(諸説ありすぎ)に見咎められ、困っていると、いつの間にかパンが薔薇に代わっていて、無事にお城を出ることができたという伝説があります。
死後数年で、キリスト教で聖女に列せられています。(この時代はまだプロテスタントは無いので、カトリックとは表記しせん。ちなみに、16世紀にこのバルトブルグに匿われてルターが聖書の翻訳をしたので、プロテスタントの聖地と言えるかも。夏にルター祭りが開催されます。)
その物語が、教会の壁に描かれているという設定。
エルジェーベト:サブリナ・ヴェッカリン
ルードヴィッヒ(エルジェーベトの夫):アルミン・カール
エルジェーベトがパンを持ち、夫はそれに寄り添います。
二人の甘いデュエットがたまりません!新婚のうきうき感、ルードヴィッヒがパンを配るのを手伝ってくれた時のエルジェーベトの喜び、十字軍へ参加する夫への切ない眼差し。(何故かCDだとアルミンさんの声に甘さが無いのが残念)
ハインリッヒ・ラスペ(ルードヴィッヒの弟):クリスティアン ショーン
グーダ(エルジェーベトの侍女):カトリン ウィードマン(セカンド エルジェーベト。こういう役者さんを育てる制度、羨ましい。宝塚もやってますよね?)
このミュージカルでは義理の弟が見咎める役で、薔薇の花を悔しそうに投げ捨てます。
エルジェーベトの侍女グーダは、ハインリッヒがブラコンで、事あるごとにエルジェーベトを苛めるので、ハインリッヒが悔しがる様子をざまーみろとニヤニヤ見ています。
(これは、私がいくつかの場面をミックスして創作した場面です。元ネタは、修道士のコンラッドがバルトブルグに招かれ、貴族たちから宝飾品を回収する場面です。元王妃(エルジェーベトの義母)がささっと宝飾品を取ってスマートに寄付した後、ハインリッヒはお気に入りのアクセサリーをしぶしぶ修道士を睨みながら渡します。グーダがニヤニヤ見ているのは、その場面です。
パンが薔薇に変わっている場面では、ハインリッヒはエルジェーベトを呼び止めて、籠の覆いをちらっとめくるだけで、さっさと退場するので、こんな風に地団駄は踏んでいません。)
コンラッド フォン マールブルグ(修道士):クリス マーレイ
コンラッドとヴァルト ブルグ(城)
中世風に、遠近感がない絵を目指したのですが、慣れないと難しいですね。
コンラッドは「虚飾を排せ」、「自分を鞭打つのだ」という偏狂的な宗派に属しています。
クリスさんの迫力のある説教、自信に満ちた歌声、すごい!圧倒されます。
このミュージカルは、2007年にエルジェーベト生誕800年記念として、ドイツのアイゼナハで上演されました。
元東ドイツの小さな街で、見るからに予算が無いと推察される衣装と舞台装置(完成度が高いので、普通に見ていたら気づかないと思います。すぐ分析したがるの、私の悪い癖。)、それをセンスでカバーして、実力派揃いの役者さん達が役作りを練りこんで作り上げた作品。情熱に脱帽!音楽も傑作ぞろい。演出も「そんなやり方があるのか!くぅぅ、痺れるぅ!」と悔しくなるところが沢山!
例えば、主役のエルジェーベトの衣装は白のロングワンピースが基本。それに、豪華な上着を着たり、ワンピースだけになったり、ぼろぼろの布を被ったりするだけ。それでも印象はちゃんと変わる。デザイナーに花束を差し上げたい!
2007年ベスト ミュージカルに選ばれました!(巨匠の「レベッカ」を抑えて)
2008年にはアイゼナハに加えてマールブルグでも上演されました。この年に観劇した人から、後半にコンラッドがどんどん苛烈になる辺りがソフトに変更されたと聞きました。私は前年のサディスティックな方が好みだけど、子どもも見るからソフトな方が安心かもね。
その人が、「内容は素晴らしいのに、このタイトルは何とかならなかったのか。」と嘆いていました。確かに! 同じウィーンミュージカル文化圏で、大ヒットの「エリザベート」があるんですから、「有名な方じゃなくて、聖女の方で・・・。」って説明しなきゃならない。
(ブロードウェイやイーストエンド、フランスものとか、ミュージカル文化圏が違えばまだしも・・・ってことです)
このサイン入りCDは、サインの無い物より7ユーロ高いです。7ユーロは、エルジェーベトが支援していたレプラ、ライ病(現在のハンセン氏病)等の子ども達に寄付されます。
役者さんがボランティアとしてサインして、観客もボランティア&嬉しい宝物、病気の子どもたちが支援を受けられる・・・皆が嬉しいこの企画、日本でもあるといいな。もう、あります?
誰のサインか分からないものがあるけど(笑)。
エルジェーベトのあらすじが気になる人、いますか?通販でCD買っちゃった、とかじゃなければ、興味ないよね。しかも、ジャケ買いしたくなるようなデザインじゃない。
でも、もしかして、興味があります?パンフレットを広げて、CDをかけながら、「ここで、ハインリッヒがエルジェーベトのお尻を触って、彼女が舞踏会から逃げ出すと、それに気づかない貴族たちが役目を果たさない困った王太子妃だと悪口を言うの。ここ!この曲が終わるジャン!っていう音のタイミングで王様が死ぬ!」と3時間くらい解説いたしますよ。
更にアイゼナハの観光情報(バッハの生家あり)とか、エルジェーベトの経歴とか(4歳でアイゼナハに来ているが、初めの婚約者が死んじゃって、その弟に婚約者が替わった)とか、追加できますよ?
面白エピソードも沢山あります。エルジェーベトが聖別されているのに、実父のハンガリー王は破門されてます。とーちゃん、何やってんだか・・・と苦笑い。
0コメント